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「首里の町が消える日」山田もと 著 [独り言/その他]

首里城の映像、衝撃を受けました。
未明の火事なので、炎が燃えさかる様子や、焼け落ちる様子が、
余計にすさまじく感じられ、目に焼き付いています。

「安心してください。これはCGですよ。」
とかだったら、よかったのに・・・。

首里城と聞いて、ある本のことを思い出しました。
小学生のころ、読書感想文を書くために読んだ本です。

山田もと著「首里の町が消える日」

この本は、戦争中、首里に住んでいた、少年と母親の話です。
何十年も前に読んだきりなので、記憶が、かなり怪しくはあるのですが、
とにかく悲しい結末でした。

差し迫った戦争の気配が、強く漂う中、
少年が、その地方の葉っぱでうちわを作るんです。

少年は、目を悪くしたことで塞ぎ込んでいたのだったと思いますが、
うちわの色をきれいにするために、あれやこれや頑張り続ける中で、
元気を取り戻していきます。

母親が、手に入れたさらし粉で、うちわを漂白し、
少年は、それに色を付け、宝物のように大切にします。

でも、確か、最後、その少年とうちわは、戦争の犠牲になるんです。

砲撃か銃撃のせいで・・・。
少年と色とりどりのうちわが、空に舞ったように記憶しています。

で、それは、沖縄戦で首里城が消えた日のことでした。
というところで、物語が終わったと思います。

私の表現では、思いが全く伝わらず、実に悔しいのですが、
とにかく、心に深く残る話です。

今だと、少年の母親の気持ちも考えてしまうので、
とてもではないけど、読み返す気は起きませんが、
みなさんは、機会があったら、読んでみてください。

もしかして、私の記憶が間違っていて、話には続きがあり、
少年と母親は、なんとか逃げ延び、その後は、幸せに暮らしました。
ってなっていたらいいのですが・・・。

ところで、思うのですが、この「首里の町が消える日」は、
本当に、小学生向けの本だったんでしょうか・・?

この話、「ガラスのうさぎ」や「ベトナムのダーちゃん」のように、
その先の未来が感じられることなく、そのまま終わってしまいます。

「火垂るの墓」のように、
じわじわと、嫌な予感がしてくるようなこともありません。

戦争の中で、でも、普通に、私たちと同じように、
ちょっと先のことを考えて、過ごしている少年の話なんです。

「なんか、この話、突然終わった。途中で終わった。この先は?」
と思ったことを覚えています。

小学生の自分には、
突然、理不尽に命が奪われ、それで全てが断ち切られる状況は、
想像もつかないことだったんですね。

この話、小学生には、少々厳しいのではないかと思うので、
お子さんに勧めるのなら、一度読んでみてからの方がいいと思います。

正直なところ、私は、ちょっとトラウマになってます。

「首里」と聞くと、
「うちわ、さらし粉、戦争、首里の町が消える日」
って連想して、気持ちが、ちょっと、ざわついてしまいます。

「首里城」と聞くと、観光名所というよりは、
悲しいイメージが浮かんでしまいます。

今回、首里に関して、また一つ、悲しい記憶が増えてしまいました。
願わくば、この先は、
首里の町に、一つでも多く、明るい話題がもたらされますように・・・。

(追記)
「首里の町が消える日」は、
「ブーゲンビリアの咲く町で」に改題改訂されているようです。

タグ:ニュース
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